嫌い。だけど好き。
私が・・・お父様に愛されていない?
・・・そんなの前から知っている事。
私は名だけの娘。一条家を継ぐ人と結婚するために生まれたの。

私・・・晃哉君と一緒にいて、よかったの?
有栖川さんと結婚したら・・・
私さえ我慢すれば みんな平和だった・・・?

「そうね・・・。私は父親に愛されてない・・・」

お父様と家族らしい会話すら あまりしなかった。けれど・・・愛されていないって改めて自覚すると胸が痛い。

「私は 一条の子孫を残すだけの 使用物だもの。・・・そんなの・・・最初から 知っ、知ってた・・・ふっ・・・う・・・」
涙が溢れた。

「おい!こいつ、泣いたぞ!ハハハハハ」
みんなが笑う。でも、涙は止まらない。

キンッ
・・・え?なんか、金属音が聞こえる。

キンッ・・・キンッ!

「おい、なんだ!?」
男達も 焦り出す。私の涙も一瞬止まった。

キキッン・・・ガンッ ・・・・・・コロン。
部屋の奥にあったドアが開いた。


なん・・・で?なんで あなたは。
私が助けて欲しい時に助けに来てくれるの?
「結愛さん、返してもらうぞ!」
・・・手にパイプを持った 晃哉君だった・・・。
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