嫌い。だけど好き。
「みなさん。ごきげんよう」
教師が 言うと声を揃えて言う生徒達
「ごきげんよう」
この挨拶にも慣れた。
結愛は はぁ・・・と誰にも気づかれないよう小さな ため息をした。
小さい頃から 何も変わらない光景。
つまらない毎日。

・・・お金は無くても 笑いあって歩いて学校へ行く 一般女子生徒の方が ずっと楽しそう。
結愛は 恵まれた家庭。・・・いや。恵まれすぎた 家庭に生まれたことに あきあきしていた。

父は病院経営者のトップ。
母は父を支える仕事柄。
小さい頃から 出かけるどころか 団らんもしたこと無かった。
結愛は そんな両親に気づかい 本当の自分を 押し殺して生きてきた。
これからも この生活が続く事は 覚悟したくなくても しなければ ならない。

でも・・・この宝箱の中の小さな女の子は
やがて太陽を浴びるように 宝箱を抜け出す。そんな きっかけをくれる 男の子に もうすぐ出会うとは・・・。
結愛は予想もしていなかった。
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