嫌い。だけど好き。
「結愛・・・」
お父様の聞いた事もないような 落ち着いた声が聞こえた。

「私は・・・仕事ばかりで、お前に父親らしい接し方など したこと無かった。嫌われて 家を出ていかれるのも 当然だな。
・・・すまなかった」
落ち込んだ顔をする お父様。
意外な言葉に私は驚いた。

「お父様・・・謝らないでください。
私も 勝手な事をして すみませんでした」
・・・迷惑をかけたのは事実。
私だって、自分勝手だった。

「お父さんと お母さん、顔が すげー疲れてるぞ!結愛さん、ちゃんと愛されてるじゃんか」
ニカッと笑う晃哉君。
お父様が私から視線を離す。
お母様は私に微笑んでくれた。
・・・本当・・・?私、愛されてる?

「子を愛さない親なんて いないのよ。
結愛・・・私達の所に帰ってきて」
お母様が私に 言った。

「そ、そうだぞ・・・」
お父様も少し顔を赤くして目線を外しながら言った。

「ふ・・・ひっ・・・く、ふっ・・・」
涙が溢れてしまう。お父様とお母様と 揃って会話をしたのは・・・何年ぶりだろう?

「ほらほら!結愛さん 泣かねーの!」
私の涙を、包帯を巻いた手で拭ってくれる晃哉君。

「七星くん・・・だったね?」
お父様が体を晃哉君に向けた。

「は、はい!」
晃哉君は ベットに深く 座り直した。
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