嫌い。だけど好き。
「ほら、結愛、ケーキのロウソク、消して」
晃哉君が これ、と教えてくれる。
ふーっと息を吹きかけると、1発で消えたロウソクの火。
「ふ~!」
「結愛、おめでとう!」
「おめでとう、」
「一条さん、おめでとう~」
ありがとう。ありがとう。
嬉しすぎて声が出ない。
足が震える。
こんな家に生まれたのが不幸だ。
・・・そんな事なかった。
こんなに 暖かい誕生日は
もう一生こない。
みんな、ありがとう。
誕生日パーティも 終わりに近づいてきた時、次々と皆が帰って行った。
皆、最後に おめでとう と言ってくれた。
最後に残ったのは、
私と晃哉君の ご両親。
「結愛・・・」
コソッと私の耳に言ってくる お母様。
「・・・?なんですか?」
「この誕生日パーティ、企画したのは晃哉さんなのよ。後で ありがとうって言ってね」
ニコッ言う お母様。
晃哉君・・・あなたには もらってばかり。
あなたは 私には もったいないくらい、優しすぎます。ありがとう。