嫌い。だけど好き。
ちょっと・・・!何やってるの私!
庶民の男の子よ!?
私の家系には似合わない男性。

珍しく、息切れしながら車に乗り込む結愛に、運転手は驚いていた。

・・・少し時間が経った頃、
結愛は運転手に聞いてみた。
ちょうど、男性だったからだ。
「ねぇ。庶民の男の人って誰にでも『可愛い』と言うのでしょうか?」
運転手は車の中のバックミラーと目を合わせると、驚きの表情をしていた。
結愛は その表情を見逃さなかった。
無理はない。結愛から男の人の話を聞くなんて初めての事なのだ。
運転手は忠実に答えた。

「いえ・・・遊び人だったら そうでしょうが、普通は 本当に可愛いと思った人にしか おっしゃらないと思いますよ。」

「あ・・・そうですか。
どうも ありがとう。」
バックミラーから目線を外し、窓の外を見る。運転手に見られてるだろうか?
私は顔が熱くて仕方ない。

何を期待しているの。
運転手にわざわざ聞いたりして・・・。
あんな綺麗な男性よ?
女性みんなに言ってるに決まってる・・・。
私・・・今日は何か変な日だったわ。
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