嫌い。だけど好き。
第3章
「ここが・・・視聴覚室で、隣が放送室です・・・」
彼を案内する内に、私も知らなかった場所が沢山あった。
最後に着いたのは最高階の突き当りの部屋。ここは昔、この学校が一般学校だった時に 空いていた小さな部屋・・・。

会社の令嬢や、国会議員の子息など、将来 有望になる人達しか通えなくなった この恒星学園・・・。この小さな部屋は、お金持ちの子息にはトイレ位にしか見えないのだろう。誰1人、入る人はいなくなった・・・。

「お~!なんか、ここ すげぇ~な!
日当たりいいし!ソファもベットも1つずつある!!」
興奮したように、彼が言った。
私は ある事に気がついた・・・。
「あの・・・今更だけど、あなたの お名前は?」

「え!?昨日の自己紹介 聞いてなかっただろ~!俺は 七星晃哉」
苦笑いを浮かべながら、自己紹介する七星君・・・。七つの星かぁ・・・。七星君の笑顔は綺麗だから ぴったりな名前だな。

「おい!君は?」
ボーッとした私の目の前で手をヒラヒラしながら聞く七星君。

「あ、私は 一条結愛といいます。
どうぞ よろしくお願いします。
七星君は どこのご子息なんですか?」
将来 有望視されているのに、ここまで明るくいられる彼が すごいなぁと思った。
だからこそ、どこの ご子息なのか聞いてみたくなった。

「あ~俺ね、ここの理事長の孫なんだよね!遠くに住んでたんだけど、親が海外出張になったから じぃちゃんと一緒に住むようになったってわけ!ここの皆みたいに 金持ちじゃないからな?」
また ニカッと笑顔を浮かべる七星君。
理事長も立派な学園のリーダー。
当然、お金持ちだと思うけど・・・。
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