この恋が実るなら


-------

次の日、打ち合わせ通り山口さんは寧々さんを誘ってお昼に出た。


私は、予め準備してたコンビニのサンドイッチを食べながら、自分のデスクで休憩時間を過ごしていた。


お昼をオフィスで過ごす人はあまりいないから、いつもは騒がしい空間がしんと静まりかえる。



はぁ。
今頃、どんな話してるのかなぁ。
山口さんの優しさに、寧々さん救われてるのかなぁ。


もしかして、泣き出した寧々さんを抱きしめてるかも。


そんなリアルな想像をしてしまった自分を恨む。あぁ、もう。応援するって決めたのに、やっぱり苦しさは変わらないな。


山口さんの恋が実ったら、私は…。



私は…?







お昼時間が終わって、オフィスも賑やかさを取り戻した。


先に仕事に戻っていると、山口さんと寧々さんも戻ってきた。
少し寧々さんの表情が明るくなった気がする。うまくいったんだ。


山口さんが近づいてきて、コソッと耳打ちする。


「今夜、寧々さんとご飯行くことになった。ありがとな。」



< 109 / 147 >

この作品をシェア

pagetop