この恋が実るなら


私達は、駅前のカフェに入った。
これから何を聞かれるのか、気が気じゃない。


コーヒーを頼んで席に着くと、先に口を開いたのは吉川さんだった。


「寧々の様子、どうだった?何か、変じゃなかった?」


心配そうに眉を寄せている。
やっぱり、何かあったんだ。


「今日一日、ボーッとしてたというか、よくため息ついていたというか…

心ここに在らず、って感じでした。」


そう言うと、「やっぱりそうか…」と独り言のように呟いた。


「何か、あったんですか?」


私が踏み込んでいい事なのかどうかわからないけど、先に聞いてきたのはあっちだ。


吉川さんは、少し考えてから、口を開いた。


「実は、金曜日の夜に、プロポーズしたんだ。」


「え!!??」


「あまりに突然だったから、寧々だいぶ動揺して戸惑っててね。」


それは予想していなかった。
だって、あんなに幸せそうだった寧々さんが、大好きな吉川さんからのプロポーズを、喜ばないはずがない。


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