この恋が実るなら


「プロポーズだけじゃ、ないんだ。


実は、仕事で5月にはフランスに赴任することになっていて、寧々にもついてきてほしいって、伝えたんだ。


その事を、事前に何の相談もしてなかったから、たぶんその事でショックを受けたって事だと思う。」


「そう、だったんですか…。」


「寧々と出会う前から、海外赴任の話は出ていたんだ。だから、本当ならもっと早く打ち明けるべきだった。


でも、最初からそれを伝えてしまったら、寧々は僕のところには来てくれないかもしれないって思って。寧々の事、どんどん好きになっていったから、怖くて言えなくなっちゃって。


だから、考えた末に、プロポーズとセットにしてしまって、逆効果。」


吉川さんは、はは、と短く自虐的に笑って、ため息をひとつついた。


そんなところに…私は山口さんをけしかけちゃったんだ。。
どうしよう。
とんでもないこと、しちゃったかも…。


「え…?」


吉川さんが突然声を上げたので見上げると、窓の外を見て硬直している。


視線の先を追うと、そこには…




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