この恋が実るなら


寄り添って歩いてる、山口さんと寧々さんがカフェの前を通り過ぎて駅の方に向かって行ったところだった。


時折、笑顔で顔を見合わせて何か話してる。
そこにいたのは、今日昼間の、心ここに在らずの寧々さんではなかった。


どうなったかわからないけど、山口さん、うまくいったんだ…。


私の心にズシンと重い石が落とされて、海の底に沈んでいく…。


「どうして…、山口と…」


はっとして、目の前の吉川さんを見た。
目の前で最愛の人が別の男と歩いているのを目撃して、ショックで動けなくなってる。


私のせいだ…!


「ごめんなさいっ!!!」


私はテーブルに頭がつきそうなくらい頭を下げて、謝った。


「私のせいなんです!私が、山口さんの恋を応援して、寧々さんを誘うようにけしかけたんです…!」


「え、何でそんな事を…?」


「本当にごめんなさいっ!失恋して傷ついてた山口さんを、ほっとけなくて…。」



< 113 / 147 >

この作品をシェア

pagetop