この恋が実るなら


「あの時は、プロポーズの事も、海外赴任の事も、驚いてしまって…。ごめんなさい、思考回路停止しちゃった。」


蒼一郎さんは、私の腰に手を回したまま、見上げて聞いている。


「でもね、一人になってじっくり考えたら、やっぱり蒼一郎さんのいない人生なんて考えられなくて。


その…、仕事の事もあるし、5月までにどうしたらいいのか、とかは、具体的にまだわからないのが、正直なところ…なんだけど。


でも、プロポーズ、お受けします。
これからもずっと蒼一郎さんと一緒に、いさせて、ください。」


自分の言いたかった事を言い終わると、力が抜けた。


蒼一郎さんの目は泣きそうに潤んでる。


「ありがとう、寧々。ありがとう。」


蒼一郎さんも立ち上がって、改めて抱きしめ合う。私の目からも、涙が一筋流れた。


ほんの数日だけど、心がすれ違ってた時間はすごく長く感じて、寂しかった。やっとこの胸に戻ってこられた。


蒼一郎さんは、そっと私の瞼に口付けて、それから唇を捉えた。
いつもの優しいキスに、心が温まる。


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