この恋が実るなら
会がお開きになり、みんな帰り支度を始める。
寧々は実花の腕を取って、さぁ行こう!とお店を出た。
2人でタクシーに乗りこむと、寧々はドライバーに「桜川公園まで。」と迷いなく伝える。
「あのね、まだまだ咲き始めたばかりだけど、桜が綺麗なところを見つけたから、実花ちゃんと行きたいなって思って。
夜桜のライトアップが、素敵なんだって。」
ワクワクしながら話す寧々に、何だかモヤモヤしている実花の心も晴れてきた。
公園に着くと、人はまばらだが咲き始めたばかりの桜が綺麗に照らされて美しい情景が浮かんでいた。
桜の下を歩きながら、寧々が話し出す。
「私ね、蒼一郎さんと出会えて、本当に幸せなの。すごく大事にしてくれて、こんなに好きになった人は初めて。」
いつも惚気るようなことのない寧々の話に戸惑いながらも、幸せそうな寧々を見て嬉しくなる。
その反面、やはり山口の事が気掛かりでもあった。
寧々は話を続ける。
「だからね、実花ちゃんにも、幸せになってほしいなって、心から思ってるのよ。」