この恋が実るなら


まだ山口の言葉が信じられない実花は、言葉を返した。


「でも…いつから?山口さん、寧々さんを食事に誘ったり、一緒に出掛けたり、昇格したら気持ちを伝えるって言ってた…」



「ずっと騙してるみたいで、後ろめたかったけど。ごめんな。

寧々さんへの気持ちはただの憧れだって気付いたのは、あの抜け殻だった何日か後すぐだよ。
それからは、藤谷の事で頭がいっぱいだった。

一緒にいられる時間が嬉しくて、藤谷が一生懸命俺を励まして応援してくれてるのが嬉しくて、そのままのフリをしてたんだ。

だって、失恋してすぐにお前に心変わりしたみたいに思われたくなかったし。

寧々さんには、どうやって藤谷に気持ちを伝えようか、相談してたんだよ。

昇格したら、気持ちを伝えたいって言った相手は、藤谷だ。」


「そんな…、私、いちいち山口さんと寧々さんの事で悲しくなったり寂しくなったりして、泣いてたのに…。」


「本当、ごめん。」



< 142 / 147 >

この作品をシェア

pagetop