この恋が実るなら
【エピローグ】
ここは、空港の出発ロビー。
月に何度も利用するので、手続きには慣れているけど、今回はちょっといつもと違う。
大好きな奥さんが一緒なんだ。
否が応でも顔が綻んでしまう。
出会ってまだ半年という短い期間だが、お互い惹かれ合い、労わり合い、最高の伴侶として認める事ができた。
正直、僕の仕事の都合で奥さんの人生を大きく振り回してしまったことには罪悪感がある。
それでも、この最愛の人と離れて暮らすなんて、とても耐えられなかった。
カウンターで差し出したパスポートには、吉川寧々と印字されている。
夫婦になったんだ。
これからは家族なんだ。
身が引き締まる思いだ。
フランスでの駐在期間はまずは2年とされているが、延長の可能性もある。
この先どうなるかはまだわからないが、寧々と一緒にいられれば、何があったって幸せだ。
例えいろんな困難があったって、乗り越えていける。
搭乗手続きを済ませて、寧々の手を取ると僕の顔を見上げて嬉しそうに微笑んだ。