この恋が実るなら

無自覚



月曜日。

いつも通り出勤すると、待ち構えていたように満面の笑みの実花ちゃんにつかまった。


「寧々さん!!寧々さん!!金曜日、どうでした!?」


金曜日の甘い時間を思い出して、ニンマリする。


「うん、楽しかった。すごくね、いい人だったよ。」


「やだー!寧々さん、にやけちゃって。可愛い!!お昼休みに、じっくり聞かせてくださいよ〜!」


キャーキャー大騒ぎしすぎだから、もう。


「おはよう、ございます。」


そこに、ぶすっと不機嫌マックスな山口くん登場。
あれ、珍しいな。
いつも人当たりいいタイプなのに。
何かあったかな。


「ねぇ、今日はこのクライアント、サイトのリニューアルの件で13時から打ち合わせあるから、それまでに資料そろえといてくれる?」


とりあえず、機嫌が悪いことには触れず、業務連絡で様子見。


「はい。」


一言だけ無愛想に返事をして、資料を私の手からもぎ取った。


あれ、私に対して怒ってるのかな。
いやいや、何も身に覚えがないけど…。


とりあえず、気を取り直して仕事仕事。
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