この恋が実るなら
「ね、山口くん、何か嫌なことでもあったのかな?あんな機嫌悪いの、珍しくない?」
「ですよね、なんかちょっと、いつもと違いますね…」
と、心配そうに山口くんの背中を見送る実花ちゃんに、
「そういえば!実花ちゃんこそ、山口くんに送ってもらったんだったね!どうだったのよ!?」
自分のことで舞い上がってて、すっかり忘れてた。
実花ちゃんはハッとこちらを見ると、あっという間に真っ赤な顔になって、パタパタと右手で顔を扇いだ。
「寧々さんが頼んどいてくれたから、無事送ってもらえましたよ。
二人で話すこと、今まであんまりなかったから、めちゃめちゃ緊張しましたけど。。」
もじもじしながら、話す実花ちゃん。
相変わらず可愛いな。
「で、何か発展あったの?」
ついつい世話焼き姉さんが出てしまう。
「何もないですよぉ。でも、二人で帰れただけで、いいんです。」
少し俯きがちに、赤くなった顔を両手で覆った。
時計を見ると、11時20分を指している。
あと少しでお昼だ。
「さて、じゃあ私達もお昼行こうか。いつものとこでいい?
12時半には戻ってきて、打ち合わせ準備しないとね。」
「はい!」