この恋が実るなら


お店に入ると、なんとなくチーム毎に席についた。
時間になって、課長の挨拶で歓迎会が始まる。



あーあ、寧々さんがいたらよかったのに。一緒に飲みたかった。


藤谷が俺の隣に座って、かいがいしく世話を焼いてくれる。
サラダとか取り分けてくれるの、男にはポイント高いんだろうな。
計算でやってる女子も多いだろうが、たぶん藤谷の場合はこれが素だ。
いい子だ。
他のチームの奴からも結構人気が高いんだ。


「藤谷、寧々さん今日の急用って何か聞いてる?」


ちょうどサラダと唐揚げをよそったお皿を俺の前においてくれる藤谷にそう尋ねると、ちょっと目を大きく開いて、少し迷ったような表情を見せた。
そして、少し小声で


「今日お昼にお店で会った、陽子さん覚えてます?
 陽子さんのお仕事の関係の人で、寧々さんに会いたいって人がいたみたいで。
 今日はその方とお食事に。」



え。



それって、男、、だよな。



ずしん、と心が鉛のように重くなった。
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