この恋が実るなら
いい天気。
朝晩はかなり冷え込むけど、昼間はポカポカあったかい。
11月。私はこの季節が一番好きだ。


カランカラン。
昔ながらのドアベルの音が、耳に心地いい。


「あれ、偶然!寧々達もここ来るんだ!」


手を挙げて「こっち、こっち」と手招きしてるのは、学生時代からの友人の田口陽子。
この近くのインテリアショップでインテリアデザイナー&コーディネーターをしてる。


私たちは、陽子の席の隣の、いつもの窓際の席に座って、いつも通りのお気に入りメニューを注文した。


「ここのナポリタンの大ファンなんだ。陽子こそ、よく来るの?」


「普段は出先で食べることが多いんだけどね。今日は店舗でディスプレイの模様替えだからさ。」


サバサバした性格で、付き合いやすい陽子は、昔から自分のやりたい事をとことんやってきてる素敵な子だ。
彼とも結婚間近で、ほんと羨ましい。


ブー、ブー、ブー。と誰かの携帯のバイブが鳴った。


「あ、電話。ちょっと外出てきますね。」


山口くんが慌てて席を立つ。
それと同時に、陽子が耳元に近づいてきた。

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