この恋が実るなら


駅から電車に揺られて、2駅。
そこから15分くらい歩いた。

道には街灯が少なくて、薄暗い。

確かに、女の子がこんな時間に一人で歩くのは心配になるような道だ。



「いつもこんな暗い道、ひとりで歩いてるの?」


今度は俺から話しかけた。


「はい、でもいつもはそんなに遅くならないから。心配・・してくれるんですか?」


「あぁ、寧々さんが藤谷のこと心配してる気持ちがわかるな、って思って。」



藤谷が歩くのをやめたので振り返ると、
俯いて立っている。



「どうした?」


尋ねると、少しうるんだ目で俺を見上げた。
泣きそう、と思ったのは気のせいだったか。
すぐに笑顔を作って、

「いえ、なんでもありません!」


もう、ここで大丈夫です。うち、すぐそこなので。
今日は、送っていただいてありがとうございました!」




振り返らずに帰っていく藤谷を見送って、俺も駅に引き返した。





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