この恋が実るなら


「必要なものは全部揃えました。13時の打合せの直前に準備したいこともあるので、早いけどお昼行ってきます。」


寧々さんが、不愛想な俺を不思議そうな目で見ている。
いかん。
しばらく離れなくては、心がもたない。


いつものお店?という寧々さんの問いかけにも不機嫌に答えて、そそくさとオフィスを後にした。




コンビニでおにぎりとお茶とフライドチキンを買って、オフィスの目の前の公園に向かった。
今日は天気がいいので、日差しがあれば暖かい。



ベンチに座って、一人で心を落ち着けながらおにぎりを頬張る。



こんなにイライラしたってしょうがないよな。
これまでも、チャンスはあったのに、自分に自信がなくて気持ちを伝えられなかった俺が悪い。


寧々さんに憧れてる男が他の部署にもたくさんいるのは知っていたし、



今までだって、いつ誰に持っていかれるかもわからない状況なのは確かだった。



でも、自分は同じチームでいつも寧々さんのそばにいられたから、それだけで満足してたんだ。



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