この恋が実るなら


「えー、そっかぁ。ねぇねぇ、山口くんから見て実花ちゃんってどう?可愛いよねぇ。ああいう子を彼女にしたら、きっと幸せよね。」


なんなら私が彼氏になりたいわ〜なんて冗談を言って笑う。



だーー!!!!
頭を掻きむしりたくなる!!
この人は、俺と藤谷をくっつけようとでも思ってるんだろうか。
イライラMAXで残りのコーヒーを一気に飲み干した。



「藤谷は、ただの後輩ですよ。」



俺の様子に気づいた寧々さんはまたオロオロしてる。
そんな寧々さんも可愛いな、と思いつつも、まったく自分が彼女の眼中に入っていないことに落胆した。


寧々さんにとって俺は、あくまでも後輩で、仕事仲間で。
チームリーダーだから、面倒みようって思ってくれてるだけなんかな。


切ない・・。


気持ちを伝えたいけど、こんだけ眼中にない男に告白なんかされたら、寧々さん今日以上に戸惑うかな。
ダメだったら、チームがギクシャクするのは避けられない。
そうしたら、今みたいに寧々さんのそばにずっといることはできなくなる。。


あぁ、俺って負け犬。


他の誰かに取られるのを黙って見てるなんて嫌だ。
なんとかしなきゃ。





頭の中でぐるぐる考えてるうちに、寧々さんは「またチームのみんなで飲みに行こう。」と言って、オフィスに戻って行った。




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