この恋が実るなら


彼女が買い物を終えて帰ってからも、ふと彼女の笑顔を思い出す。


なんだか、柔らかい雰囲気の人だな。
一緒にいたら安心できそうな。



「彼女、付き合ってる人とかいるのかなぁ。」


思わず口から出てしまった心の声に、しまった、と口を閉じる。
でもしっかり陽子さんに聞かれてたみたいだ。


「あれ、吉川さん、寧々みたいな子がタイプだったっけ?前の彼女さんはバリバリのキャリアウーマン風だったような。」


いや、あれは彼女というか、一方的に押しかけられていただけで恋人じゃないいんだが・・


「僕はね、あんまり向こうから迫ってくるような子は苦手なんだ。一緒にいたらほっとできるような子が好きなんだけど、普段は女の子の方から寄ってきちゃうから。。」


「はいはい、モテるって言いたいのね。嫌味だわ~。」


あきれたように手を振り下ろして、陽子さんはスタッフルームに戻ってしまったが、思い出したように、


「寧々、長いこと彼いないわよ~。なかなかね、恋愛に疎い子なの。」


と、スタッフルームの奥から叫んだ。



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