この恋が実るなら
目の前には、敵意むき出しの男。
「吉川さん…ですよね。
俺、寧々さんと同じ職場の山口です。
寧々さんと付き合わないでもらえませんか。」
いきなり、不躾な要求を突きつけてきたこの男は…??
他にお客様のいる時間じゃなくてよかった。
「えっと…いきなりでびっくりなんだけど。
君は、そんな事言う権利ある立場、なのかな?」
動揺を隠しながら、落ち着いて尋ねる。
「権利…なんて、ないですけど。。
寧々さんを…ずっと好きで…
誰にも渡したくないって、思ってるだけです。
勝手なのはわかってますけど。」
…やっぱり、寧々さんは気付いてないだけで、狙ってるやつはいたんだな。
鈍感な寧々さんがまた可愛くて、ふふっと笑みが漏れる。
僕の顔を見て、山口が訝しげに呟く。
「なんか、余裕ですね。
俺なんか、相手にならないって感じですか。」
「あ、いや、そういうわけでは…。
ごめん。でも僕も引くつもりは、ないよ。
やっと見つけたんだ。」