この恋が実るなら
「でも私、恋するの久しぶりすぎて、まだ戸惑ってるというか。。
これまでも、たぶん自分が見えなくなっちゃうような恋したことなくて。」
と心配そうに俯く。
彼女に忘れられない恋がないなら、そのほうが僕にはありがたい。
「僕はきっと、すごく溺愛しちゃうから、寧々はそのままで大丈夫だよ。 ちゃんと恋できるよ。」
彼女にとって、僕が一番の恋になればいいな。
願わくば、最後の恋に。
「ねぇ、今日帰ったら、僕のうちに来ない?今夜はずっと一緒に居たいな。
あ、でも寧々のこと大切にしたいから、いきなり何もしないよ。ただ、抱きしめて一緒にいたいだけ。」
ちょっと強引かな。
でも、誠意は見せてるつもり。
このまま、もうちょっと幸せを味わいたいから。
「えっと、でも着替えとか…」
「寧々のうちから10分もかからなかったから、取りに行けばいいよ。
ダメ?」
顔を覗き込んで尋ねると、ちょっと照れながら「じゃあ、お邪魔します。」と微笑んだ。