この恋が実るなら
「寧々さん、今日お昼どうしますか?」
ピンクのお花が飛んでる人に声をかける。ボーッとしていそうだが、寧々さんの手元は超高速に作業していて、判断力もいつも以上にだ。
お花が飛んでいながらも、やるべき仕事はテキパキこなしている所は本当に尊敬する。
「今日はね、蒼一郎さんが陽子のお店にいるから、近くで一緒に食べようかと。」
手元は休まず動かしながら、でも嬉しそうに答えた。
そっか、そういう事ならその二人を目撃させる訳にはいかない。
違う場所へ連れていかなくては。
「じゃ、今日は山口さんとお昼行ってきますね。寧々さんも楽しんで〜。」
「そっか、実花ちゃん、そちらも仲良くね♡」
鈍感で山口さんの気持ちに全然気が付いてない寧々さんは、(それなのに何故か私の気持ちはお見通しだ)、最近やたら山口さんを私に近づけようとしていて、先輩のその要らぬお世話もまた、彼にダメージを与えているのを私は知っている。