この恋が実るなら
「あ、蒼一郎さんからメールだ。じゃ、お先に出るね。いってきまーす。」
先輩が、ピンクの花を飛ばしながら絶好調に出かけて行ったのを見送って、さて。こちらも抜け殻の人を連れ出すか。
「山口さん、お昼行きましょう。いいお天気だし、今日はお弁当買って公園で食べましょうよ。」
「あ、あぁ。」
ぼんやりしてるので、財布も忘れそうになってる。
もう、しっかりしろ!
私の大好きな山口さん!
こんなヘタレではどうにもならない。
抜け殻の山口さんを何とか連れ出し、コンビニでお弁当を買って、公園のベンチに座る。
「さあ、食べましょう!」
元気よく声をかけるが、反応はなし。
そうだよね。辛いよね。好きな人が取られちゃったんだもんね。
「山口さん、しっかりしてくださいよ。気持ち吐き出したら、スッキリしますよ。
私でよければ、聞きますから。」
と強い口調で言うと、驚いた顔でやっと私を見た。
「え、藤谷、なに?知ってるの?」