この恋が実るなら
「あ、えっと、私達もう行かないと!!寧々さん、また後ほど!吉川さん、またの機会に!」
私は慌てて陳列棚にあったチョコを掴んで、山口さんの袖を引っ張ってレジに向かった。
早くこの場から退散しなくては!!
急いで山口さんをコンビニから連れ出すと、大きなため息が出た。
「…ごめんなさい、コンビニなんか寄ったから。。」
悲しい顔の山口さんを思い浮かべて呟くと、
ふいに、頭に心地よい重さを感じた。
大きな山口さんの手が、私の頭をポンポンと撫でている。
「ありがとな。あの2人に会わせないように、わざとコンビニ入ってくれたんだろ。
藤谷、優しいなぁ。」
そう言って、ニッと笑った。
今日初めての笑顔。
「え、でも、裏目に出ちゃって…」
何故だか私の方が泣きたくなる。