この恋が実るなら


「あ、えっと、私達もう行かないと!!寧々さん、また後ほど!吉川さん、またの機会に!」


私は慌てて陳列棚にあったチョコを掴んで、山口さんの袖を引っ張ってレジに向かった。


早くこの場から退散しなくては!!


急いで山口さんをコンビニから連れ出すと、大きなため息が出た。


「…ごめんなさい、コンビニなんか寄ったから。。」


悲しい顔の山口さんを思い浮かべて呟くと、


ふいに、頭に心地よい重さを感じた。
大きな山口さんの手が、私の頭をポンポンと撫でている。


「ありがとな。あの2人に会わせないように、わざとコンビニ入ってくれたんだろ。


藤谷、優しいなぁ。」


そう言って、ニッと笑った。


今日初めての笑顔。


「え、でも、裏目に出ちゃって…」


何故だか私の方が泣きたくなる。


< 94 / 147 >

この作品をシェア

pagetop