お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「まぁそんな怒るなって。結婚したら不自由させないよ?」
「そういう問題じゃないわ!」
「じゃあ、何が気に食わない?」
「何がって、そりゃ……会ったばかりだし、いきなり結婚なんて」
「わかった」
あ、わかってくれた?
やっぱり、おかしいよね?あなたも別に好きでもない女と結婚するのは……。
「つまりはあんたが俺に惚れたら問題ないってことだろ?」
「そうそう。って、はぁ!?」
「簡単じゃん。すぐに好きになるよ。あんた」
智哉がお猪口の日本酒を一口飲む。
それが何かのCMくらい絵になるから余計に憎い。
こいつ、頭おかしいんじゃないの!?
私は憤慨して席を立った。
「意味わからない!かえ……」
「逃げるの?」
背を向けたところで動きが止まる。
逃げる。
私が?
なぜ!?
そういう方程式が瞬時に脳内に出て、怒りのまま振り返ると智也がニヤリと口の端を上げた。
「じゃあ、決めよう。ひと月だ」
「え?」
「ひと月であんたを落とす。落とせなかったら、ばあさんに頼んで見合いはなしにしてやるよ。そっちの家が困らないように俺が全部悪いことにして」
「ほ、本当?」
「ああ、まぁできればばあさんの機嫌を損ねるのは避けたいけどな」
智也は空になった猪口に酒を注ぎながら嘆息する。
本当に葉山家は祖母が権力の中心らしい。