お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
ひと月でしょ。
智也の提案に私の心は傾いていた。
だって、私が好きにならなければ絶対いいだけだ。
しかも、一ヵ月。
楽勝すぎる。
勢いよく立ち上がった手前座るのは癪だが、ここで怒って帰って実家に被害が被るのは避けたい。
私は迷った後、渋々座布団に座り直した。
「と、とりあえず、ひと月だからね。私がそれでも嫌ならちゃんとおばあさまを説得して」
「わかった」
智哉が余裕の笑みで答える。
目の前の男の尊大な態度に私は憤りしか感じない。
少しでも好青年だと思っていた自分が恥ずかしい。
絶対、こいつと結婚なんてしない!
固く決意して、先ほど浴びせようとしたお茶を一気に飲み干した。