お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
なんで、私はこいつに好かれようとしていたのだろうか。
嫌われて、『ばあちゃん、俺、こいつとは絶対結婚無理だわ』と心底から訴えかけさせないといけない。
むしろ、ここで恥じらいは不要。
「焼肉!絶対、焼肉!がっつり食べたい!食べ放題がいい!」
勢い余って迫ると智哉は私に押されてのけ反った。
「うん、まぁいいけど」
案の定、戸惑いの色を見せる。
よしよし。引いてる引いてる。
あとは引くぐらい肉もニンニクもキムチも食べまくってドン引きさせたらいいだけだ。
「ふふふ」と含み笑いが漏れる。
智哉はそんな私を見て不可思議そうに首を傾げた。
「何なの?そんなに肉好きなの?」
「まぁね」
見ていろ!これでお見合いも終わりだ!
心の中でそう宣言した時、ちょうどエレベーターがついた。
私は意気揚々と開け放たれた扉へ一歩踏みだした。