お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
酔って、酔われて
ゆらゆらと揺れる意識。
ゆっくりと瞼を開ける。
白い滑らかなシーツの感触が気持ちよくてまた目を閉じた。
……いつもの枕より固い気がする。
だけどこれもこれでいいかと頬ずりをしてまた意識が夢の世界へと沈んでいく。
ん?
待って。何で枕が固いの?
一気に覚醒して目を開けると、目の前に寝顔があったから息が止まる。
端正で精悍な顔。
あの芯の強さを感じさせる瞳は隠れていても、凛々しさが滲みでている。
だけど、無防備な寝顔は笑った時のように少年の面影も残していた。
智哉が気持ちよさそうにすぐ隣で寝息を立てている。
「な、な……」
なんで?と声に出しかけたけど、それも喉で消えた。
起き上がってはらりと肩から掛布団が落ちたのだ。
下着姿だった。
自分の姿に硬直する。
起き抜けの頭がうまく稼働してくれない。
ど、どう、どうして!?
「……んー」
私が動いたからか、智哉が起きたようでゆっくりと瞼を開ける。
彼は私をぼんやりと見つめると二、三度瞬きをした。
「あ。おはよう」
「ぎゃー!!」
それまでフリーズしていた私の身体は反射的に智哉の身体を押しのけた。
「うわっ」
体制を崩してベッドから転落していく智哉。
ゴンッと派手な音がした。
覗くと目を回して倒れている。
「……あれ?服着てる」
私の予想と反して智哉はきっちりと紺色のパジャマを着ていた。