お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「それが、部屋入った途端起きて吐きそうだって言うし。トイレに駆け込んだら出てこないし、見てみたらトイレの床で倒れてるし」
急いで起こして水を飲ませたら、うまく飲めなくて零しまくる。
床を拭いているうちに、私は濡れた服を脱ぎだした。
さすがの智哉もうろたえたが、お構いなしで下着姿になって、ベッドにダイブした。
そこから爆睡。
智哉は私の服を拾って、洗濯機へ。シャワーを浴びて私が占領するベッドの隅で就寝。
ありえなさすぎでしょ。
いくらお見合いを断らせようと粗暴に振る舞うにせよ、迷惑をかけていいわけではない。
二日酔いでズキズキと痛む頭を抱える。
「お前、豪快すぎだろ」
「本当にすみません」
もうそれしか言えない。
ただ深く頭を下げたまま項垂れていると、
「あのさ、桜子」
「本当にすみません。私のできる限りお詫びを……」
「結婚しよう」
「はい、結婚……って、はい?」
場にそぐわない単語が出てきて顔を上げた。
智哉は至極真面目な顔でこちらを見つめていた。
「だから、結婚しよう。桜子」