お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
二回聞いても、脳がすぐに理解しようとしない。
だって、こんな状況でプロポーズとか……
「いやいやいや、ありえないから!」
全力で首を横に振る。どうしたらこうなるというのか。
もしかしたら、これは全て夢なのではないかと密かにテーブルの下で手の甲を抓ったみたら、痛くてすぐに指を離した。
ゆ、夢じゃないみたい。
それでも、未だ信じられず智哉を凝視していると、彼は腕を組んでどこか遠いところを見つめる。
色々と昨日のことを回想しているようだ。
「昨日お前の世話していたら、この先何でも大丈夫な気がしてきて。これって理想の夫婦の形態だろ?」
「ちがう!」
妙に爛々と目を輝かせて力説する智哉を即否定する。
定義は合っているかもしれないけど、そもそも話の流れが何だか違う。
だって、このお見合いは反故にする予定なのに、そのためにあれだけ女を捨てて焼肉食べたのに。
「今までの女は俺の金とか地位とかを目的の女ばかりで辟易してたけど、お前は違う。平気で酔いつぶれて吐いて、脱いで爆睡……」
「やだー!言わないで!」
自分の醜態をもう一度口に出される苦痛に悶える。
もう、一生お嫁にいけない!いや、プロポーズされてるけど、この人の嫁になるのも嫌だ!
自分でも支離滅裂な思考に大混乱する。