お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「曝け出しているからこそ信頼できる。そういう女がよかったんだ。会った時からお前は違うと思ってたけど、もう決めたよ」
「勝手に決めないでよ!」
テーブルを叩いて思わず立ち上がった。
真っ向から智哉を睨みつける。
昨日は迷惑かけたけれど、これとは話が別だ。
「私は嫌。絶対好きじゃないと結婚なんてしない」
「だから俺のことさっさと好きになればいいだろ」
「いやいやいや、あんた、話がぶっとんでるよ?」
「ぶっとんでないよ」
智哉は至って平静としたこちらを見上げてくるから、調子が狂う。
混乱するしかない私を智哉はテーブルに頬づえをついて見上げてくる。
「俺はお前の顔もかなりタイプだし。全く問題なし」
絶句。
顔って、あんた……。
私の気持ちはどこに行ったんだ!
自己中男に腸が煮えくりかえって手が戦慄く。
きっと、今私の中はマグマが蠢くくらい煮えたぎっている。
「私、絶対結婚しないからね!」
大きく宣言してリビングのドアへ向かおうと一歩進んだところで、
「服、まだ乾いてないけど」
智哉の一言で静止する。
ぎこちなく振り向くと、ふっと勝ち誇ったあの完璧で好青年な微笑み。
「せっかくだから朝ごはん食っていけば?それとも俺の服着て帰る?」
その言葉に私が選べるほうは一つに決まっている。
「い……いただきます」
情けなくもだぼだぼの男物の服を着て外に出る勇気もなく、ゆっくりと踵を返したのだった。