お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~



「もう結婚しちゃったらどうですか?葉山夫人」

「あー!やめてー!」



経緯を話した優菜の第一声に私は悶えた。


いつもの定食屋で、食後のお茶をテーブルに置いて突っ伏す。


嫌われるはずが気に入られるなんて。


こんな状況に陥るなんて誰が予測できただろうか。



「先輩、携帯鳴りましたよ」

「んー?」



テーブルに頬をつけたまま隅に置いていたスマホを手に取る。


音からしてメッセージだ。


開いてみた瞬間、倒していた上半身を起こした。



「あいつ、ランチにうな重だって!こっちはサバみそ定食なのに!」

「へぇ、さすが御曹司」

「なんか静岡に出張なんだって」



『今昼飯中』と送られてきた美味しそうなうな重の写真。


すぐさま操作して、ふんっとうさぎが顔を背けたスタンプを送ってやる。


優菜はそんな私を眺めてお茶を啜っている。



「仲良しじゃないですか」



思わず、スマホを取り落としそうになった。




「ち、違うし!」


「そうですかー?でも、私、良かったと思いますよ。だって、先輩、智哉さんの話してる時、何だかんだで楽しそうですもん」

「そ、そんなことなっ……」



否定しようとしたらまたスマホが鳴った。



今度はメッセージだけだった。





『今度一緒に食べよう』





シンプルにそれだけ。



でも、確実に私の胸をグッと掴んできてさっきの言葉も引っ込んでしまう。




< 39 / 105 >

この作品をシェア

pagetop