お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~


「お見合いじゃなくても、少し誰かを見てみるのもいいと思いますけど。先輩美人だから勿体ないですよ」



後輩の優しい言葉にじんときてしまった。

優菜みたいな小柄で女の子らしい甘い顔立ちで男が好むこともわかっている。


私は昔から人見知りでどうしてもはじめ不愛想に思われてしまう。


第一印象とはなかなか消えないもので、そこで『怖そう』とか『きつい』とかマイナスイメージが生まれて、恋愛も片思いで終わってきた。


容姿も昔から大人びていて、身長も一六〇後半あるからヒールを履くと日本男性だと大体同じ目線になる。それだけで恋愛対象から除外もされてきた。


全体的にクールでドライな印象に男が取っ付きにくいのもわかる。


だけど、優菜みたいな愛されキャラなど自分には合わないと思うから、同じように振る舞うなんてできない。




本当は愛されたいのに。

願望と思考が違ってちぐはぐだ。




定食屋を出て会社の前まで来たところで、携帯が鳴った。




ディスプレイを見ると『お母さん』と出ている。


「ごめん、先に戻ってて」

「わかりました」



優菜は軽く頷いて会社の自動ドアを潜っていった。


私は鳴り続ける電話に嫌な予感しかしないながらも、通話ボタンを押した。




「もしもし、何?」

「あ、さっちゃん?次の葉山さんとのデートのことなんだけどね」

「はぁ?断ってって言ったでしょ?」




思いっきり眉を顰めた。


昨日、散々口論になっても断っておくように言っておいたのに。


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