お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「わ、私」
「今回はキスする流れで合ってるだろ」
少し身体が離れた瞬間、智哉が茶化すように言う。
だけど、すぐ真摯な光を瞳に宿して
「俺と結婚しよう。桜子」
智哉が言うから、私の声は引っ込んでしまって。
降ってくる口づけに目を閉じて応えていた。
「ん……」
一度離れた唇は角度を変えてまた重なる。
「桜子」
瞳と同じような熱が籠った声で私を呼ぶ。
智哉と違う男の人みたいで、少し怖いような、でも見つめられると身体の奥が疼いてもっと見ていたいような。
今まで感じたことがない感情が智哉を前にするとどんどん溢れてくる。
「やべ」
「え?」
「そんな顔されるととまんねぇだろ」
どんな顔?と小首を傾げる前にぎゅっと抱き締められてさきほどよりも深くキスされた。
食べられるかのように舌を絡めとられて、その甘い感覚にくらりと眩暈がした。
「あー、離したくない」
智哉はそう言いながら私をさらにきつく抱きしめる。
私も。
呼応するように彼の背中に手を回しかけた時、ふと身体が離れた。