お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「離したくないんだけど、今日は帰る。明日からアメリカに出張なんだ」
「そ、そうなの?」
「荷造りまだ終わってなくて、早朝便だからさすがに今日は家に戻らないとまずい」
智哉が苦い表情で目を伏せる。
荷造りもまだできていないほど時間がなかったののかと、私は今になって彼の多忙ぶりを甘くみていたことを痛感した。
「い、忙しいなら今日の約束も別の日にしたのに」
「俺が会いたかったんだ」
私の言葉を打ち消すように智哉が言うから、甘い台詞に声が詰まってしまう。
「一週間、日本にいないから連絡できない。って言おうとしたら、お前飛び出していくから」
「ご、ごめん」
「返事は?」
「え?」
「今聞かないと、気になって一週間出張無理」
急に拗ねた少年みたいな顔をする。
さっきまで大人の知らない男のように見えたのに、急に幼さを出されて、そのギャップにキュンとする。
ドクドクと普段より早く脈打つ鼓動を感じつつ、こくりと頷く。
すると、智哉の顔がパッと明るく綻んで、次の瞬間には再びきつく抱き締められていた。
「あー、やっぱ帰りたくない」
「ええっ?」
駄々っ子のようなセリフに慌てたけれど、すぐに頭をぐりぐりと撫でられて
「帰ってきたらとことん可愛がるから。覚悟しておいて」
と大人の色香たっぷりで言われるとどう反応したらいいのかわからなくて。
結局、私はまたこくりと頷くしかできなかった。