お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
「条件とか雰囲気で流されかけてたけど、冷静になってみたらやっぱり違うと思ったの。育った環境も背負うものも違うし、そもそも私は結婚願望ないし仕事続けたいし」
その瞬間、ガッと顎を捕らえられた。
ぐいっと上に押されるとすぐ目の前に身を乗り出した智哉の怒った顔があって息を呑む。
「俺を見てちゃんと言えよ」
真っすぐで揺るがない強い眼差し。
嘘を許さないそれについ視線を横に逃がしてしまった。
ここは意地でも逸らしてはいけないのに。
後悔しても遅い。
唇を噛んだ私に智哉は嘲笑するように鼻で笑った。
「俺のこと好きじゃないって?」
「そ、そうよ。だから離し……」
最後まで言葉にできなかった。智哉が私の唇を自分のもので塞いでいた。
慌てて顔を背けたけど、すぐに顎に置いた手で引き戻されて口づけられた。
私たちの間にあったローテーブルが智哉の手でガッと音を立てて横に退けられる。ハーバリウムが倒れて床に転がるのが視界に映ったけど、すぐに彼に抱きすくめられて見えなくなった。
「んっ……い、いや!」
噛みつかれるようなキスから身を捩って智哉の腕の中から逃げる。
だけど、すぐに押し倒されて圧倒的な力で両手を床に縫い付けられた。