お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
誓う




雪が降っている。


私は商品陳列をしながらコンビニの中からしんしんと降る雪を眺めていた。


東京には珍しく朝から雪が降っていた。


今夜は寒くなるから寄り道せず早く帰ろうと決めてレジに戻ると、自動ドアが開く。


「いらっしゃいませ」



声をかけた途端、入ってきた人物と目が合った。



あ、あの人だ。



いつもこの時間にアンパンと牛乳を買っていく。


目つきが悪い男の子。


紺色のニット帽を被っているからひと際その鋭い目つきが誇張されてしまうのだ。



顔立ちは目鼻立ちもはっきりしていて綺麗なのに、もったいない。


などとこの人のレジを打つたび密かに思っていた。



「二百十六円です」




いつものように彼がレジに置いた牛乳とうちのコンビニ限定のバターアンパンの会計を済ませる。


三百円からのおつりをレシートとともに手渡した。




「あ、あの」

「はい?」




いつもぶっきらぼうに軽く会釈だけして去っていくのに、今日は動かずごにょごにょと何か言っている。



私が首を傾げて、言葉の続きを待っていると、いきなり俯いていた顔を上げた。




「俺、ずっと好きでした」

「え?」

「あなたのことが好きです!」




聞き間違えかと思ったけど、二回目は高らかに宣言された。



私は理解できずに見事にフリーズ。




え?好きって?私?




えええええええ!?







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