お見合い愛執婚~俺様御曹司に甘くとらわれました~
カーテン越しに感じる朝日に負けないくらい爽やかな笑顔で言われても、複雑な気持ちになる。
しかも、ばっちり色気のない寝言まで聞かれている。
「しかも『ごめんなさい!』って何の夢だよ?」
「昔のコンビニのバイトの夢見てたの。高校一年くらいの時。車に自転車で接触した怪我したお姉ちゃんの代打だから二カ月くらいしかしてないけど」
「ふーん」
訊いたわりにはそこまで興味がないのか智哉は「腹減った」とベッドから身を起こした。
「あ、朝ごはん、食べる?あ、でも、今食材なくて、パンなら昨日買ったのがある」
私も慌てて起きようとしたけど、裸のまま智哉の前に出るのが恥ずかしくて、ベッド脇に脱ぎ散らかった服を掴むと布団の中で来た。
「今更恥ずかしがることないだろ。あれだけ見たのに」
「お、女心よ!」
堂々と美しい肢体を曝して目の前で着替える智哉に笑われながら、何とか下着とシャツだけは着るとベッドから出てテーブルに置いたビニール袋の中身を取り出した。
メロンパン、カレーパン、アンパン。昨日は疲れていて何も思わなかったけど、統一性のない菓子パンをこんなに買った自分に呆れる。
智哉がいるとは想定していなかったといえ、もう少し健康的で女らしいものを買うべきだった。
「お、バターアンパン!俺、昔からここの好物なんだよ」
並べたパンの中から智哉がアンパンをテンション高めに手に取る。