恋は盲目、愛は永遠
私はひざまずき、頭(こうべ)を垂れた。
レオ様は私の首を跳ねるのだろう。
火あぶりという公開処刑ではなく、私が愛したこの小屋で死なせてくれる。
愛していたレオ様自らの手で。
これ以上の恩寵があるだろうか・・・。

いや、なぜ私が殺されなければいけないのだろうか。
だからレオ様は、昨夜危険を冒して、「逃げろ」と忠告をしに来てくれたのに・・・。

「頭を上げよ」とレオ様に言われた私は、頭を上げてレオ様をしかと見つめた。

少しかすんで見えるのは、涙が出てきたせいだろうか。
吹雪の中助けた人が王子ではなかったら・・・いや、誰も助けなければ、私はまだここにひっそりと暮らせたのに。

でもやはり、ユージーンが、いや誰かが倒れていたら、私は助けただろう。
自らへ降りかかる危険を顧みても。
だからこれで良かったのだ。

私は泣きながら、ユージーンに微笑んだ。

「ユージーンというのは、母が与えてくれた名だ」
「さようでございますか、レオ様」
「・・・・・・すまない。私を許せ、ティア。いや、私を一生恨め」とユージーンは言うと、私の心臓に剣を突きつけた。

やっとユージーンが私の名を呼んでくれた・・・・・・・。
最期にそう思った私は、微笑みながら死んでいった。
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