恋は盲目、愛は永遠
おまえの恋人となるこの私が助けに来た。

そう思ったら、私は自然と笑顔になっていた。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、唯子は「王子様」とつぶやいた。
自分がそんなことを言ったとは気づいてないらしく、「姫抱っこをしている私は本物の王子だと思わないか」と聞いてみたら、大層驚いていたな。

その顔、不安におびえていた顔、私につられて微笑んだ顔。
彼女のすべての表情をずっと見ていたいと思った。
裸眼でまわりを見ようとする彼女の目の焦点は、合っていない。
めがねが壊れているのを幸いに、私は思いきり顔を近づけて彼女の顔を観察した。

時折瞳の色が、濃い藍色に見える。
実に美しいと思った。
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