恋は盲目、愛は永遠
私は時折自分で自分を心理的に痛めつけてしまうクセがある。
自分を追い込みすぎる性質なのかもしれない。
とにかく、そのような愚考はすぐに消した。
万が一福島や倉田が唯子に手を出せばどうなるかは、彼らが一番よく知っている。
現実をしっかり見ている彼らは、そのような愚行をすることはない。

何より彼らは唯子の魅力に気づいてはいない。
それはそうだろう。唯子の姿を彼らに見せないために、私が唯子の目の前にいるのだから。

唯子はただこの私だけを見ていればいい。
それができないのであれば、私を一番に見ろ。
とまですでに思っている私は、
実は独占欲が強かったのかと新たな自己発見をした。
これも唯子のおかげだ。
恋は盲目と言うが、見えていなかった私の本質、情熱、そういったものを唯子はいとも簡単に私から引き出している。
これが愛の力というものなのか。なんと偉大な・・・。

ずっとこうしていたいが、実際はそうもいかない。
周囲がぼんやりとしか見えない唯子は、きっとおびえているはずだ。
大至急めがねを作ってやらなければ。
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