恋は盲目、愛は永遠
唯子は私とすることは嫌がるが、抱きしめられるのは嫌がらない。
その事実には数日前から気づいていた。

夜遅く帰って唯子が寝ているベッドに寝ると、寝ている唯子は私に擦り寄ってくる。

無意識は真実を映し出す。

つまり唯子は、この私の温もりが恋しいわけだ。
だったらまだやり直せる。私にも希望はある。

そして起きてる状態で私が唯子を抱きしめると、唯子はホッと安堵のため息を漏らした。

よし。これが真実。
私も心の中で安堵のため息を漏らした。

私は唯子の存在を確かめるように、そしてその温もりを感じたくて、唯子の背中や髪をなでながら「明日は出かける」と宣言した。

二人きりで過ごすハネムーンだと言ったら、唯子は驚いた顔で私を見た。
行き先は着いてからの楽しみに取っておくことにし、明日は早いからもう寝ようと言ったら、唯子は明らかに安堵したのか、
余計な緊張を解き、すぐ寝入ってくれた。

私がいつもこうして唯子を抱きしめながら眠っていたことを、唯子は知らない。
そして今日私がプレゼントを買ったことも、唯子はまだ知らない。
すべてはハネムーンの間に分かることだ。
安堵した私もすぐ眠りに落ちた。
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