恋は盲目、愛は永遠
恐怖心で体が固まり、動くこともできない私は、片手で顔を覆うことしかできなかった。
冷静に考えると、顔を覆ったところでどうにもならないんだけど。

私は交通事故で死ぬんだ。結局全盲になることはなかった・・・。

キキーッという音が、すぐ近くで聞こえた。
そしてバタンとドアが開いた音と誰かが来る気配を感じた。


「怪我はないか?轢いてはいないはずだが」

よく響くバリトンの声を聞いた私は、恐る恐る手を下ろして、声がしたほうを見た。

男の人だというのは分かる。
低くてよく通る声と・・・匂いで。
よく分からないけど、これは男の人の匂い。

そして圧倒的に温かい雰囲気に、私は気圧された。
< 16 / 298 >

この作品をシェア

pagetop