恋は盲目、愛は永遠
「鈴太郎さん」
「なんだ唯子」
「私・・・私はただ鈴太郎さんと一緒に暮らせればそれで十分です。老後の保障なんていらないから・・・だから・・・」
「だから?」と鈴太郎さんは優しく聞きながら、私の目に浮かぶ涙をぬぐうために、めがねを外した。

途端に視界がぼやけたけど、返って言いやすいかもしれない。
それでも鈴太郎さんを直視できなくて、私は目をギュッとつぶった。

「す、少しでも、一日でも、ううん、一分でもいいから、鈴太郎さんと一緒にいたい・・・です」
「それはこの私と少しでも長く生きたいという意味か?」と鈴太郎さんに聞かれた私は、泣きながらコクコクとうなずいた。

「いつか鈴太郎さんは、私に飽きて・・・でもそのときは少しでも遅くきてくれればいいなと・・・思って・・・」
「ちょっと待て唯子。今私はとんでもない戯言が聞こえてきた気がするんだが」

戯言って・・・?
私は「ふぇ?」みたいな声を発して、恐る恐る鈴太郎さんを見た。

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