恋は盲目、愛は永遠
まだ見えるうちに両親に会っておきたかった。
そしてまだ元気だと言えるうちに。
だから今日、実家へお邪魔した。

この家で生まれ育ったのに、私はすでにこの家に属していない。
ここは両親の家。私のじゃない。
だから「お邪魔した」という感覚が先に立つ。

それでもここには私の部屋がある。
ひと月ちょっとぶりにこの部屋を訪れた私は、入るなり懐かしいと思った。

もう少し点字の本を屋敷に持って帰ろうか。
あ、今「帰ろう」って思った。

私はクスッと笑った後、しくしく泣いた。
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