恋は盲目、愛は永遠
「この家は売却することになった」
「え・・・?お父さん?」
「鈴太郎さんが手配してくれてな。新しい会社へ通うのに便利な場所だし、母さんと二人で暮らすにはちょうどいい大きさだ」
「・・・そぅ」

そうだよね。
もう両親は私の世話を焼く必要はないわけで。
私だってもう23だし。大人だし。
伊集院鈴太郎さんの妻だし。だからここにも居場所はないわけで・・・。

それが私のおなかの底に、黒い感情が湧き起こったことを実感した瞬間(とき)だった。
< 208 / 298 >

この作品をシェア

pagetop