恋は盲目、愛は永遠
「名前は」
「ひっ!」
「名前」
「・・・大石唯子と申します」と消え入りそうな声で、私はやっと答えた。

私が名前を言ったとき、彼がチラッと助手席に目配せをした・・・ような気がした。

「字はどう書く」
「えっと、大きな石に、唯一の子、です」
「そうか。いい名だ」と彼は言うと、薄い唇の口角を上げて微笑んだ。

やっぱり。思ったとおり妖艶な微笑をする人だ。
超至近距離で彼に見惚れていることを、気づかれてはいないだろうか。
そんなことを考えていた私に、彼は爆弾を投下した。

「私は伊集院鈴太郎だ」

・・・え。あの、もしかして、あの伊集院家の・・・?
伊集院グループの・・・!!!

だとしたら、この高級車にも納得がいく。
専属と思われる運転手に、助手席に座っている人は・・・。

せわしなく目を左右に泳がせている私の心の内を完全に読んでいるのか、「そして運転手の倉田と、助手席に座っているのが、私の第一秘書をしている福島だ」と伊集院さんが言うと、二人から「初めまして」と言われた。
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